僕がこの世で一番恐ろしい怪我は?と聞かれた時、迷わず「足関節捻挫」と答えるでしょう。
足関節捻挫は怪我の中でも軽くみられやすいと思っています。そこが一番恐ろしいところなんです。
申し遅れました。新潟市中央区に構える、しん接骨院の早川勇大です。
いきなりお聞きしますが、今までこんな悩みはなかったですか?
・捻挫が癖になっている
・股関節や膝が痛くなる
・シンスプリント(足のスネの内側が痛い)で足がズキズキ
・よく歩いているとつっかえる事が多い
などなど、挙げればキリがないです。なぜこんな症状が現れてしまうのか、もしかすると過去に捻挫をしませんでしたか?
したとするなら、全て捻挫の呪いです。
今回僕はこの捻挫の呪いから解き放たれる方法と捻挫をしてしまったが呪いにかからない方法をご紹介致します。
今までの記事の中で一番見て欲しい内容ですので、是非ご覧になってください。
足関節捻挫の概要
まず始めに、足関節の構成と捻挫の特徴を知って頂く為に、難しい言葉は使用せずにわかりやすくまとめましたのでご覧下さい。
足関節を構成する骨
まず足関節は脛骨、距骨、腓骨の3つの骨から構成されます。
内くるぶしが脛骨、外くるぶしが腓骨となります。
足関節はこの3つで成り立ち、関節を安定させる仕事をしているのが下記で紹介する靭帯です。
足関節を支える靭帯(怪我が多い外側の靭帯)
関節の安定をさせているのが靭帯です。
足関節捻挫は内側にグキッと捻り(内ち返し)外側(外くるぶし側)の靭帯を痛めてしまう内反捻挫が足関節捻挫の中では8割から9割を占めるほど多く起こるのが特徴です。今回はその外側の靭帯を解説していきます。
主に外側靭帯は3つからなり、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯から構成されています。
例外として前下脛腓靭帯も入れさせて頂き、計4つをご紹介致します。
この4つの中で最も起こりやすい怪我が前距腓靭帯の単独損傷です。
捻りの具合によって、前距腓靭帯+踵腓靭帯の損傷のように複合した場合もありますが、一番お多いのは前距腓靭帯の単独での損傷です。
なぜ多いのかは下記の足関節捻挫の特徴にて説明させて頂きますので宜しくお願い致します。
足関節捻挫の特徴
足関節捻挫の特徴として、①外側靭帯の損傷が多い理由、②外側の中でも前距腓靭帯損傷が多い理由、をわかりやすく説明致します。今回は損傷度合いに対する分類や鑑別、細かな症状解説は次回のブログで説明いたしますので割愛させて頂きます。
①外側靭帯の損傷が多い理由
外くるぶしより内くるぶしが短く、可動域が違うからです。
上記の写真を見てわかるように、内返しの時は内くるぶしが短い為、うごける範囲が大きいので約60度内反可能なのに対し、外返しは外くるぶしが長いために動ける範囲が約30度しかないからです。可動域が大きい分靱帯もそれに伴い伸ばされるので、外側の損傷が多いと言われています。
②前距腓靭帯損傷がなぜ多いのか
理由は3つあります。
①前距腓靭帯の耐久力が約16キロ(138N)に対して、他の外側靭帯の踵腓靭帯の耐久力は約36キロ(345N)の為、前距腓靭帯は他の靭帯と比べて耐久力が弱い事。
②足関節が捻挫をよく起こしやすい姿勢(内反底屈位)になった時、ankle mortise(アンクルモーティス)に距骨がはまり込んでいない為、不安定な環境になっている事。
③前距腓靭帯の構造(wrap-around構造)は距骨の外側面の前外側端と接する事で、靭帯の走行が変わり力学的にも靭帯が伸びやすくなっている事。
以上の3つの理由から前距腓靭帯の単独損傷が多い言われています。
足関節捻挫の後遺症
冒頭でお伝え致しましたが、足関節捻挫を軽くみて放置してしまいますと、「慢性足関節不安定症(CAI)」という後遺症になります。前距腓靭帯損傷の約4割がCIAになると言われ、中でも80%が将来変形性足関節症になると言われています。
構造的足関節不安定症(MAI)=病理的弛緩、関節キネマティクス異常
機能的足関節不安定症(FAI)=固有感覚、神経、筋コントロール異常、筋力低下
このCAIになりますと、簡単に言えば足が内返しの形のまま固定され、常に外重心(小指側に乗る)になります。そうなることで、冒頭で説明致しました、大腿部の外側に疲れがたまり足が太くなる、シンスプリント、膝を曲げた時に膝が内に入る(ニーイン)などが起こり、股関節や膝の痛みに繋がります。
学生時代に放っておいた捻挫の呪いが大人になった時に確実に上記の内容のような、悪い影響を与えますので、本当に気をつけましょう。
CAIになることで、骨棘や有痛性三角骨の後遺症は次回のブログで説明致します。
慢性足関節不安定症(CAI)になる具体的な理由
結論からいいます。それは、「初期固定不足」これ一択です。
捻挫後、かなりの治療家やトレーナーはテーピング(キネシオやホワイト)で足関節0度か軽度背屈を目指し固定されるかと思います。そこが落とし穴です。テーピングでは固定不足です。
Verhagenの調査によれば、足関節捻挫577名の調査で39%に遺産愁訴があり、テーピング群が最も悪かったと報告されています。ホワイトテープなどの非伸縮性テープを用いても、固定力が約10分で40%落ちると言われています。
ではどうすれば良いか、それは半硬性装具やギプス固定(キャストライト)を受傷早期に行い、いかに足首を背屈位で固定できるかが鍵になります。下記で説明致しますのでご覧下さい。
CAIを防ぐ方法
後遺症を防ぐ具体的な方法を簡単に2つご紹介致します!
方法①半硬性装具やギプス固定
半硬性装具やギプス(例キャストライト)を用いて足関節軽度背屈外返し位で固定しましょう。
装具を使用する理由は、背屈位を維持できしっかり固定できるからです。損傷度合いや大会などの日程によって固定期間は前後しますが、受傷後できるだけ早くに固定することで、CAIを防ぐことが出来ますので、医療機関に必ず受診し固定してもらいましょう。また、現場トレーナーの方もできれば装具で固定を施し、選手の今後の未来を守っていきましょう!
方法②予防でテーピング
捻挫の予防の為にテーピングで足首をサポートする事は、捻挫受傷の対策には良いと思います。
予防に勝る治療は無い、という言葉は本当にその通りだと思いますので、バスケットボールのような捻挫の受傷が特に多いスポーツの方は予防していきましょう。
本日のまとめ
いかがでしたでしょうか。捻挫を放置する怖さが伝わったでしょうか。正直、軽い捻挫であれば時間が経てば痛みはなくなります。しかし、放置する事で、踵の骨が内側に向き(踵骨内反)、足関節底屈で拘縮され、常に外側重心になります。それが原因でパフォーマンス低下や、捻挫の再受傷、足が太くなる、膝や股関節の痛み、などのお悩みに繋がって来ますので、捻挫を受傷してしまった時は、必ず医療機関に受診しましょう。
放置するという選択が、未来の自分を確実に困らせます。
最後にもう一度言います。
捻挫は、初期固定で全てが決まります。サポートする側の方はそこを改めて意識して、選手の未来を守って行きましょう。
次回、足関節捻挫part2でまたお会いしましょう。
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